ティーポップ・エックスファイル


スーパーを出ると、もう空が薄暗かった。
サイアム以外にまだ行きたい場所もあったので、歩いてサイアムの駅へと向かった。
ここで、前回のタイ旅行でも行ったが未完成のまま公開されていた美術館があったことを思い出し、帰る前に軽く見に行くことにした。
結論から言うと、美術館に行き作品を見終えた俺は
鼻息フンフンの目ギンギンのテンションアゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士状態だった。
なぜならそのときの美術館の展示のテーマが、「日本のマンガ、アニメ文化」だったからだ。
俺はマンガもアニメも大好きだし、日本に帰るまでそういったものたちには触れ合えないと覚悟して旅に出てきた。
しかし!俺はこの長い旅路(2日目)の末、とうとうここにたどり着いてしまったのだ。行くしかないのだ。
導かれるように中に入り、美術館の中央にでかでかと展示されたその作品を見て、絶句した。
その作品は、大きな竹をスパッと切ると、そこから日本の様々なサブカルチャーが大量に飛び出してくる、というものだった。
中心には、女子高生が笑顔でリストカットしているアニメ絵。
その周りを、ド○キのド○ペン君、スー○ー海物語のロゴ、AVのジャケットなどが取り囲み、
そのさらに外側にあふれるように描かれているのは、何百人もの日本のアニメのキャラクターたち(しかもエロパロ)だった。
セーラー○ーンやエヴァンゲ○オン、涼宮ハ○ヒやひぐらしの○く頃になどのキャラクターたちが、上から下から汁をだらだら垂らしながら快感に身をよじらせ、
もう……らめぇ………


そんなトコ……汚いよぉ………


おにぃちゃん……ダメだよぉ…………



イキすぎて頭が酸欠だよぉ………
とか言ってるのである!!!
俺は時がたつのも忘れてその作品を舐め回すように、しゃぶりつくように、えぐり込むように眺めながら、一人で爆笑していた。
他にも日本のマンガ、アニメをテーマにした作品がたくさんあり、俺はここがタイであることをすっかり忘れて夢中で作品を見続けた。
見終わって一息つき、ふとここがタイであることを思い出してちょっとびっくりしたくらいだ。
まさかタイでこんなものを見れるとは夢にも思わなかった。見直したよタイ。
美術館を出ると、もう外は真っ暗だった。
俺は電車でルンピニー公園まで戻り、そこから歩いてナイトバザールへと向かった。
そこにはかなり広い区域にわたって碁盤の目状に小さな店が敷き詰まっており、地元民や観光客でごった返していた。
日用品や生活雑貨、アクセサリー、Tシャツ、靴、おもちゃ、そしてわけのわからない小物(本物の手裏剣とか)など様々なものが売られていて、しばらく歩いたが見ていて飽きなかった。
内部には大きなフードコートもあり、中央のステージではバンドがタイのポップス(T-POP)と思われる曲を演奏していた。
飯を食いながらしばらくバンド演奏を見て、バザールを出た。
気づけば10時を過ぎていた。
この旅では早寝早起きでいるつもりなので、そろそろ帰ることにする。
とりあえず電車でファランポーン駅まで戻り、そこからカオサン行きのバスを探した。
しかし暗かったのもあり、いくら探してもバス停が見つからなかったので、仕方なくタクシーを待つことにした。
たばこを吸いながら待っているのだが、どのタクシーも既に客を乗せているようだ。
しばらく待って、ようやく車の前方に「空車」の赤いランプを光らせたタクシーが現れ、信号待ちで止まった。
俺は手を上げ合図をしながら駆け寄り、乗り込もうとしてタクシーのドアに手をかけようとした。
すると、タクシーは俺がドアに触れる寸前に車を「クンッ」と少し前進させた。
追いかけてまた手をかけようとすると「クンッ」となる。
ほっ
「クンッ」
おいっ
「クンッ」
まてっ
「クンッ」
待てやコラ客だッ!!!開けさせろ!!!!!
「クンッ」

これを10回ほど繰り返した後、俺は後部座席に座り変人を見る目で迷惑そうにこっちを見ているタイ人の親子連れと目が合った。


俺は何事も無かったかのようにタクシーを離れた。




客いるんならランプ消せや!!!!!


本当は流しのタクシーを拾いメーター料金で行くのがベストなのだが、もうどうでもよくなってしまったので、その辺で客待ちをしているタクシーに近寄り、
「カオサンまでいきたいんだけど」と言うと、
「100Bだ」とぶっきらぼうに言われる。
どうやら最初からメーターを使う気は無いようだ。
一応交渉してみた。
「60Bでどう?」
すると運転手はいきなりすごい剣幕で
ノー!100バーツ!!100バーツッ!!!!100バーツオンリー!!!!
とまくし立ててきたので、俺は尻込みしながらその場を離れた。
もう他のタクシーを待つのも面倒だったので、すぐ後ろに停まっているトゥクトゥクに声をかけ、交渉して70Bでカオサンまで行ってもらうことになった。
宿に戻ると、今日の疲れが一気に押し寄せてきたので、洗濯も調べ物も明日に回してとりあえず寝る事にした。



濃い一日だった………





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