レジェンド オブ ドラゴンパレス


なぜだ。なぜお前がいる。
2週間パタヤに行くと行っていたのは嘘だったのか?なぜカオサンにいるんだ?というかなぜピンポイントでここにいるんだ?こんな偶然ありえるのか?
ありえない!



いや!アリエッティ!!!(←言いたいだけ


ハッ
まさか俺を待ち伏せして……?
「2週間も行ったら、寂しくてキミ泣いちゃうネ!」と言われ
「アハハ……そうだね……」と苦笑いで返したのを本気にしやがったのか?

なんか怖えぇ……
アキはパタヤがつまんなくて帰ってきちゃって、ひまだからカオサンをぶらついてるんだと言っていたが、いくら考えても真実はわからないし怖いのも拭えないので、俺は考えるのをやめた。

俺が今日からの宿を探していると言うと、やはりアキもついてきた。
しかし、今日の宿探しにアキは意外な程役に立ってくれた。
まずカンボジアへ行く前に泊まっていた宿に行ったが満室。ガイドブックに書いてあるおすすめの安宿に5軒ほど行ったが全て満室。仕方ないので適当に歩いて見つけた安宿に10軒ほど当たるが全て満室だ。
炎天下の中歩き回るのは非常にきつい。それでもアキは懲りずについてきいてくれ、宿の主人とタイ語で交渉したりしてくれた。

アキは仕方ないとばかりに、知る人ぞ知る隠れ家的な安宿を紹介してくれたのだが、そこも満室だった。

アキはまだまだ探す気マンマンだったのだが、なんかもう暑いし面倒だしさすがにアキにも悪い。
「アキありがとう。今日は今の宿に泊まることにするから、もう探すのやめよう!」
「え~!もっと探そうよ!私が交渉するからさ!」
「いやいいんだ。もう疲れたでしょ?今日はありがとね。またいつか!」
「疲れてないよ!ていうか今日ヒマなの!付き合ってよ!」




……それは嫌だ。

「うん、ありがとう。でも帰るよ。うん。いや、マジで帰るから
と礼を言って半ば強引に逃げて帰ってきた。

この監獄のようなホテルで延泊の手続きをし、飯を食ったり洗濯をしたり明日の準備をしたりした。
明日から、マレーシアに向けて鉄道の旅をしようと思うのだ。
っていうかビザ切れそうだからせざるを得ないんだけど。

日本を出発する前、俺は最初の目的地であるタイのビザをとった。期限が入国から60日あるので、最初の一ヶ月間はタイをグルグル回ろうかなと考えていたのだ。
そしてカンボジアからバンコクに戻った翌日、カンボジアツアーを申し込んだ旅行代理店にあいさつがてら帰還報告に行った。
カンボジアでのことや、これからの旅の事を話していると、スタッフさんがこう言った。
「タイのビザあと13日で切れますけどどうします?」




    !?



あ・・・あれ?
入国から60日間有効なビザをとって、今はまだ旅を初めて1週間くらいしか経ってないからあと50日以上残ってるはずなんだけど・・・
カンボジアはプチ竜宮城ですか?帰ってきたら40日も過ぎてんだけど?俺はてっきり3泊4日だけだと思ってたのだけど!そんなに時がたつのを忘れるほど楽しかったのかなあ?
どっちかというと辛かったような気がするんだけどなあ……?

こわいなーいやだなーと思いスタッフさんに尋ねてみると、完全に俺の勘違いだった。
ビザの期限の60日間は国の出入りも自由だと思っていたのだが、一度国を出るとビザはその時点で失効するらしいのだ。というかスタッフさんの表情的にこれ常識っぽい

そして今俺はノンビザ~Non Visa~なので14日しか滞在できないらしい。つまり、俺は60日間期限のあるビザをたった1週間で失効させてしまい、ビザ無しでも14日は滞在できるので、わざわざタイの大使館に行ってビザを取った意味がまったく無かったことになる。

やっちまった……居たいよ……もっとタイにいタイよッ!!


………(;^_^A

しかしあと13日しかないのではゆっくりタイを回っている暇は無い。タイの後は、バンコクからマレーシアを通ってシンガポールまで続いているというマレー鉄道に乗って旅をしようと考えていたので、俺は早々にその翌日から出発することにしたのだ。

明日タイを出たらもうしばらくここには戻ってこないと思うと、急にあのオバチャンのパッタイが食べたくなった。
オバチャンの屋台を発見し近づくと、オバチャンはイスに座って寝てた。起こすのもかわいそうなので別の屋台でパッタイを買い、食べながら夜のカオサン通り周辺を歩いていると、宿の近くの通りで人だかりができていた。
何だろうと思い覗いてみると、およそ10歳から15歳くらいのタイの少年少女が十数人集まり、CDを売る露店が流す音楽に乗ってダンスバトルをしていて、それを観客として観光客や地元民が取り巻いている状態だった。
1人ずつ30秒ほど自由に踊り、最後に自分なりのフィニッシュ技とフィニッシュポーズでキメ、順番に交代していくという形だった。
10歳くらいの少年が腕だけで体を浮かして脚をぐるぐる回す少林サッカーみたいなアレをしたときは観客は大いに沸いた。
その後も少年少女は精一杯の踊りとキメ時のどや顔で会場を盛り上げ、バトルは白熱していった。
しかし、観客に欧米人の親子連れが居たのだが、その5歳くらいの幼児が、その熱いダンスバトルを見ていてもたってもいられなくなったらしく、突如ダンスバトルに乱入してぽてぽてとかわいらしく踊って見せた。かわいそうなことに、この時が一番盛り上がった。
俺にしてみれば、幼児のダンスより、せっかく頑張って盛り上げてきたのにおいしいとこだけかっさらわれ、しかし幼児相手なので怒るに怒れず怒りと悲しみの混じった笑顔を見せる少年たちの顔の方がよほどかわいかったが。

やがてダンスバトルは終了し、俺は翌日に備えて早く寝ることにした。





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